DIY

賃貸DIYにおける「守るべきこと」とは?


たまに質問を受けることがありましたので、まとめて記事に
してみました。
資格を取得する、取得したあとの心構えなどについても
お話しできればと思います。

こんな方におすすめ

  • DIY(一般的な賃貸マンション想定)を検討中の方
  • DIYに向けた資格を検討されている方
  • DIYのために資格を取ってみたが不安に思っている方

DIYは自己責任

それを言ってはおしまいよ・・・見たいな話ですが。
前提としてこれだけはご理解をいただきたいと、質問を受けた場合に
必ず回答しています。
DIYはご存じの通り「Do It Yourself」です。
DIYをやりたい理由は人それぞれですが、その実行と結果に責任を持つことは
皆さん理解されているのですが「未来(以降起こりうる問題)」にも
責任を負うことを忘れがちです。

DIYに伴う「未来」とは?

きれいに仕上がったもの、思ったよりうまくいかずちょっとカッコ悪いもの・・・
すべてが、自分が作り上げた愛おしいわが子のような存在です。
これが、生活に直結しないものであれば問題はないのですが、一般的に言われる
DIYは、生活の不便や工夫を自己流(自分で)改善するためのものが主体に
なっていると思います。
棚を作ったり、テレビを自由に配置したり、照明の増設やファンなどの取り付け
などなど。
雑誌やネットで掲載されている、プロ~アマチュアの数多くのアイデアを自分で
再現するわけですが、完成品を飾って終わりなんてことはなく、日常生活に使用
します。

そう、使用する日常がまさに「未来」です。

「未来」への責任、それは「安全」への配慮

DIYごときに、かたっ苦しいこと言うなよ!って思うでしょう。
私もそう思います。
多くのDIYで生み出されたものは、自分や家族で使うことが前提ですから
少々の不便やカッコ悪さなんて許容範囲です。

私が考える責任は、そう「安全」についてです。
プロがプロたるゆえんは、「対価をもらうことで(一定の)責任を負う」ことに
あります。

これは、工事や作業においても発生します。
(むろん、無制限の責任ではありませんので、そこには法律や一般的な概念・慣習
などで制限された中において、ですが)
工事や作業、製品の完成度に加え、実は「安全」というものを慎重に判断します。
積み重ねた経験や、会社等の組織はそれをしっかりと補完します。
これを、DIYは自分で負うことになります。

Michal JarmolukによるPixabayからの画像

DIYにおける資格は?(マンション等賃貸を前提)

さんざん脅しておいて、、、ですが。
少し視点を変えてDIYの作業を考えてみたいと思います。
法律や規則を守ることは必須です。

もちろん、それ以前に賃貸の場合は契約に基づく制限がありますので
各位そこはしっかりと確認を!!
せっかくリーズナブルに改善できたのに、退去時にお金を払うことになっては
目も当てられません。
不安なことは大家さんや管理会社に聞きましょう
(ただし概ね断られますが・・・)。

電気工事

電気を扱うための資格が必要な場合が多くあります。
資格が必要なもの、必要でないものについてはいろいろなブログやHPで
紹介されていますが、電球交換やコンセントに延長コードの接続をするなどは
できますが、コンセントを分解したり、埋め込まれているスイッチを交換したり
する場合は資格が必要です。
第二種電気工事士が該当の資格です。

水道工事

電気よりもなじみが多いものです。
賃貸マンションにおけるDIYでどこまで操作するか?と言われますとあまり
ないかもしれません。
(一軒家の場合は給排水に関係する工事資格等が関係しますが)

少なくとも今ある水道からホースで延長することは問題ありません。
パッキンの交換や、水道蛇口へ取り付ける浄水器の取り付けなどもDIY
で大丈夫でしょう。
お風呂の蛇口が短いから、先っぽのパイプだけ変える、なんてのも
問題ないです。


蛇口本体を交換(洗濯機のために水道蛇口を変える等)となりますと
少々グレーになってきます。
「給水装置の軽微な変更」をどう解釈するか、です。

給水装置主任技術者や排水設備主任技術者が該当の資格です。

ガス工事

ガスは目に見えないものです。
また非常に危険性の高いものですので、注意が必要です。
DIYでこれをどうにかしようと思う方は少ないと思います。
コンセント式のホースがある機器の接続(ストーブ等)などはもちろん
問題ありません。

ガスコンロの設置については、据え置き型で自分で引っ越し時に持ち込むような
タイプは設置に資格は不要ですが、ホースの種類や長さなど、結構不安に
なります。
個人的には、引っ越し時のガス開栓時にプロに確認をしてもらうようにしています。

ビルトインタイプ(流し台にくっついてる、埋め込まれているタイプ)の
コンロについては、ガスの配管を操作することになるため、有資格者が必要に
なる作業と私は解釈します。
そもそも、賃貸にかぎっていえばビルトインを勝手に交換するなんてワイルドな
ことはできませんし、する必要もないので故障時は大家さんや管理会社に相談
しましょう。

古いもの(10年以上、一般的には~15年程度?)は交換をしてもよい時期かと
思いますので、大家さんや管理会社の心象を良くしながら交換アピールを
がんばってみましょう(笑

ガス機器設置スペシャリストや簡易内管施工士が該当の資格です。

家具の設置、内装の変更

一般的な賃貸マンションで許容される範囲(原状復帰が前提)の場合は特に
資格はありません。

ラブリコ、突っ張り棒などの後付け製品

むしろ賃貸、無資格向けに開発された製品ですので資格とは無縁です。
施工に対して製品によっては強固な固定が必要になりますが、
その場合は上記の家具等と同じく、一般的な賃貸マンションで許容される範囲
が前提となります。

DIYに対する安全への配慮とは

話を戻しまして、DIYをおこなうにあたり必要な「安全」とは何かを考えたいと思います。
せっかく先ほどいくつかの作業範囲を資格でピックアップしましたので、その中でも
実行がおおいと思われるものについて、考えるべき「安全」について、私なりの
ポイントを書いてみたいと思います。

電気工事

資格が必要な作業ということで資格取得を検討している方もいるかも
しれません。取得する前に一つだけ。
ドライバーも触ったことがない、工具類をネットでみてもピンとこない。
学校で電気を習うこともなく、今後仕事で電気関係に従事することがない。
このような方は、個人的には資格を取得しても作業はやらないほうがいいと
思います(むしろやれない状態になると思います)。
第二種電気工事士の資格は、実技があります。
正直、実技といっても限定された作業なので「暗記」と変わりないです。
電気工事士を取ったとしても、電気工事ができるスキルは身につきません。
(本来の資格試験としてそれでいいのか?という議論はあるかと思いますが)

資格を持つ方で経験が浅い方の場合は、実施する工事の作業方法を
マニュアル等でしっかり確認してください。
テスター等をつかい、しっかりと確認をすることはもちろんですが、
ケーブルに傷がないか、無理な曲げ方で配線をしていないか、
動く箇所の場合は、擦れや曲げに問題がないかを確認します。
電気はつながっていれば流れますので、テスターでいくら導通を
確認しても万全ではありません。
勉強したように、適正な接続方法でなければ漏電・発熱・発火の
危険があります。
経験が乏しい場合は、資格で学んだことをフル活用してこれでもかと
基本に忠実に実施、不安な点があればプロに相談です。

参考までに当方が使う工具です

最小構成としては以下です。

¥¥¥

テスターはホームセンターで購入したレベル。
ドライバーも市販品です(以前の職場で使っていたHOZANを愛用)。
あとはカッター、消耗品はビニールテープくらいです。
これで、
コンセントの交換・スイッチの交換・台所の手元灯の交換(直接接続)
照明の自動点灯用スイッチの取り付け(取り換え)などは
やっています。
(電気工事士の資格取得をしたならもっと良いものを
お持ちかもしれませんね)

電動ドライバーやクランプメーター、ケーブル探索機、LANテスター
なども所有していますが、作業次第ですが必須ではありません。

賃貸マンションの場合、老朽化しているような設備は大家さんや
管理会社に相談して交換してもらうことが前提ですので、
実務未経験の方が行う改造行為については、残念ながら賃貸では
あきらめていただくことになると思います。

余談ですが、一軒家や購入した分譲マンションの話になりますが
コンセントは消耗品です。
緩みなどで火災や機械の故障が出る場合もありますので、古い
マンションの場合は交換を検討して下さい。
スイッチ類の交換で、タイマー機能やリモコン機能を追加できる
ものもあります。

交換自体は資格を持っていれば可能ですが、機能付きのものは
電流の制限や回路上の問題などが出る場合があります。
こうなると経験が必要になりますので、プロに相談することを
お勧めします。
(数千円・数万円ケチったことで、その後に起こるリスクを
考えれば見合わないと私は考えます。)

注意ポイント

・部品、工具のマニュアルは熟読
・資格作業は資格で勉強したことを忠実に
・テスター等にだけ頼らず、目視もしっかりと確認
・妥協はNG、無理はNG
・不安があればプロに任せる

家具の設置、内装の変更

家具の設置は誰でも自由に行いますが、安全への配慮は必要です。
大事なのは「転倒防止」です。
耐震ツッパリ棒やジェルなどをうまく利用して、地震や大きな衝撃
への備えはしっかりと行いましょう。

加えて、「落下防止」も重要です。
高いところにものを置く場合は、家具自体は固定されていても
その中にあるものや上に乗せたものが降り注ぐ危険があります。
落ちないような工夫とともに、落ちても最悪軽いけがで済む程度
にするなど、配慮が必要です。

注意ポイント

・転倒防止をしっかりと
・落下防止を確認
・過信しない安全な配置を

ラブリコ、突っ張り棒などの後付け製品

それぞれの商品はとてもよくできており、安全への配慮もしっかりとされている
商品です。
特に、賃貸は固定に制限が大きいためとても重宝します。
しかし、設置方法が適切でない場合は大きな事故の原因になります。

ラブリコや突っ張り棒は、接地面に対し垂直水平であることが重要です。
斜めであることは、大きく強度を低下させます。
水平器、水準器などの準備が推奨されます。
スマホなどにもその機能がありますが、専用のものを用意したほうが安心です。

■一般的な水準器例(水平器)
木材の上や横において、気泡を見ながらまっすぐであるかを確認します。

■もう少し細かくレベルを出したいとき(マルチレベル計)
理屈は水準器と一緒ですが、それに数字を加えたものです。

■ちゃんと設置したい(レーザー墨出し器)
仕事では使用しますが、私は自宅では持っていません(笑
地面(床ではなく地球レベルの地面)に垂直水平なレーザーを
縦横方向に射出します。
これをもとに垂直水平を確認します。
あくまで地面との垂直水平ですので、まずは天井面や壁などの
垂直をこちらの線と比較することからスタートします。
正直、賃貸DIYレベルではやり過ぎですが、しっかりとした仕上がり
になるのは間違いありません。
なお、商品は海外製の超安価なものから国内メーカーでもピンキリ
です。
精度の違いもありますが、レーザーの細さが大きく違います。
レーザーが太くなると、基準となる線が太くなるため結果として
精度が悪くなります。
下の商品は一例で、少し高いですが自宅で使う分には十分な
機能と口コミ評価のあったものです。

ラブリコの場合は木材に取り付けて使用しますが、木材のカット部分が斜め
になってしまうと、支える部分が斜めにになります。
せっかく材料をまっすぐ設置できても、接地面が歪んでしまいます。
まっすぐにカットするために、きちんとした墨出しをしましょう。
墨出しにはスコヤがあると便利です。


また、カットを自分でする場合は、定規のあるノコギリを使うと便利です。
2x4のカットであれば、ゼット販売の「ソーガイド ベスト」がお勧めです。
できれば木材を挟んで固定するクランプもセットで買っておくとよいでしょう。


施工後は定期的に固定場所の増し締めなどを行ってください。
特に初期は材料のしなりなども出ますので、注意が必要です。
地震があった後などは確認を忘れなく。

安全を考慮した場合、垂直水平を組み合わせることで強度を増やす方法
も選択できます。
設置したものに、どのように荷重がかかるかを考えます。
モノを上におくもの、吊るすものは下に荷重がかかります。
その場合は下に垂れないように、支えを追加します。
屋内の物干竿に使うような長い突っ張り棒であれば、突っ張る両端や
中央に縦方向のツッパリ棒を足して補強します。


市販の突っ張り式のハンガーラックと結束バンド等で固定して
縦と横の補強にすることもできます。


ラブリコの場合、立てた柱を使ってモノを吊るしたり取り付けたり
しますが、この場合に、柱から前後にせり出したような取り付けを
した場合は荷重は垂直方向ではなく、そのせり出したほうに斜めに
かかることになります。
この計算は少々面倒なので、DIYレベルであればせり出しは最小限
にするように設置、必要なら前後に数本立ててヤグラの状態にする
などの処置を検討してください。

最悪、倒れた場合でも大丈夫な配置にすることが一番安全といえます。
突っ張りだけで万全なら、世の中の商品は全部突っ張りで作ります。
ネジやボルトで固定するには相応の理由があります。
突っ張りはその代替処置、簡便処置であることは使う側として考慮
しておくべきです。

注意ポイント

・垂直水平には細心の注意を
・ラブリコの材料カットはまっすぐに
・荷重方向への補強はしっかりと
・増し締めを忘れずに
・最悪の事態を考慮した配置を

いずれの場合も、少しでも不安があるならプロに相談をしましょう。
DIYでやりたいことを、必ずしも自分でDIYする必要はありません。
皆様の目的に合ったDIYの楽しみ方をぜひご検討ください。

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